はてなブログのトップページでもよくピックアップされている、シロクマさんのエントリーを何度目か見掛けました。
確かに少子化が叫ばれ、周りに若い人がちょっと少なくなっているようにも感じる事はあったけど、破局的とな。
なんと今の20代は40代の半分ほどしかいないという。
それは大変だ!
…と一旦は思ったものの、少し間を置いて考え直したら本当にそうなの?とも思えてきました。
だって、少子化が騒がれる前の日本って、人口が増えすぎてこのままじゃ大変って言われてたじゃないですか。
極端すぎますよね。
日本の国土は狭いけど、地方は過疎化が進んで首都圏や主要都市には過密なくらい人が集まっている。
一体日本の適正な人口って、どれくらいなんでしょう?
日本に住む日本人って、何人くらいが丁度いいの?
先進国では最低水準の食料自給率
とりあえず、自分の国で生産される食べ物で、どれだけの人の食事が賄えるか。
こちらで発表されている数値から見るに、全然足りていません。
サイトでも「先進国の中で最低の水準」と言及されていますね。
足りない分以上の多くの食料を、外国からの輸入に頼っている状態です。
農業など食料の生産を行っている人の数は、高齢化とともに減ってきているので、現状のまま推移していけば食料自給率ももっと下がっていく事になります。
あれっ、自分たちで賄える食べ物の量からして足りてないじゃん…
今が多すぎるんじゃない?
…と食料自給率を挙げてみましたが、勿論他にも様々な観点から見ていく必要があるでしょう。
でもどうしてか、「どこに比べて人口が多すぎる少なすぎる」みたいに比較する基準がないようなのです。
人手不足かつ低賃金の企業乱立
ブラック企業や非正規雇用が増えて、人1人を働ける年齢まで育てた価値と見合わなくなった低い賃金で働かせたがっている企業が目立つようになりましたね。
人手不足と相まって、働ける人に対して企業が多すぎる、仕事がばらけすぎて利益が分散されてしまっているのかなぁという印象を受けます。
これって、政策もあるけど一時的に人口が爆発した弊害でもあるのかなぁと思うんですよね…
でも原因はどうあれ、奴隷だってもっと丁重に扱われていたよというような事をしている雇い主は淘汰されていくんじゃないかなと。
人がいない、来ない割に見る目だけは厳しくしすぎだし、安月給に残業代なしとか適正な報酬を与えられないなら、即刻畳むべきじゃないの?って思います。
氷河期世代へのサポートだって出来ちゃいないし。
もっと働く人、働ける人を大事にしましょうよ。
今までだって、何度も増加と減少を繰り返してきた
またしてもGoogle先生にお世話になって、ナショナルジオグラフィックに連載されていた歴史人口学者の鬼頭宏さんの記事を読みました。
これによると、
日本の人口は何人が最適か。そんな質問をよくされます。10億人でもいいかもしれないし、数千万人でいいかもしれない。私はそう答えています。たとえばこのまま人口が減っていくと、労働力が足りなくなると言われますが、それは人口問題ではなくて、経済問題。人口を経済の規模にあわせるか、経済を人口の規模に合わせるかで、人口の上限は変わってきます。つまり人口というのは、絶対的に最適という数字はない。
とのこと。
ああ、それなら別に減っていっても衰退がどうのとか心配する必要はないんですね。
その2 縄文時代、26万人でピークに では、平安時代にピークに達してから減少していった原因を「社会システムの変動」としています。
国の弱体化によって農地開発にまで手が回らなくなったのを切欠に、結局国も国民も意欲を失っていったのだと。
この辺りを読んだ時に、「あれ今と同じじゃん」と思いましたね。
連載を読み進めていくと今期の減少はエネルギー問題による要因が大きいそうですが、人の意欲ってすごく重要なんじゃないでしょうか。
本人の意欲や活力がなかったら、子孫を残すどころじゃないですし。
「つまり今問題になっている少子化は、日本で人口増加が起こっていた60~70年代、世界の人口爆発と、食料・資源問題などを解決するため、政府主導で始まったものなんですね。しかもこの1974年の『人口白書』が提唱した『2011年までに人口減少に転じる』という推計は、6年も前倒しで2005年にはほぼ実現してしまった」
つまり、この皮肉な「実績」を見る限り、日本の人口は、政府主導のコントロールが不可能ではないのだ。
と書かれていますが…
あれ、じゃあ今少子化少子化って耳タコになるくらい言われてるのも、プロパガンダなのかなと思いました。
そして、今回の減少を増加に転じさせる道として
暮らしの豊かさを追求していけばいい。簡単に言えば、人間らしく生きるということですね。
と、幸福の価値観を創出する必要性が語られています。
やっぱりこれからは、ちゃんと人が人としてちゃんと扱われる、人間らしく生きる事の出来る環境が必要なんでしょうね。
状況が変わらないなら、今のままでいいのでは?
逆に言えば、日本が現状のままだったら、人口はこのままでもいいんじゃないでしょうか?
今の世の中に生まれてきたって、要らぬ苦労を強いられたり辛い思いをして生きていくリスクが高すぎる。
それを考えて、子供を持たないと決めた人の話さえ聞くくらいですからね…
そりゃあ我が子を奴隷や人間扱いされない環境に差し出したい親なんて、まともな人の中にはいないですよ。
出生率が減った背景
鬼頭さんの連載で人口減少の要因は語られていましたが、ここではそれ以外によく見掛ける話についていくつか考えてみます。
低賃金や貧困はどれくらい影響を及ぼしたのか
昔ながらの貧乏の子沢山みたいな家庭もあれば、子供の貧困が問題になっていたりと、貧乏だから子供をもうけないとは限らないようです。
低賃金で問題になるとするなら、日本ではその前提となるの結婚のほうが深刻なんじゃないかなぁ。
自分ひとりで生きていくのが精一杯、中には実家住まいで家賃などを浮かせている話もよく聞きます。
そんな状態では、身内でもない異性と新しい生活を始めようというのも無理がある。
過重労働を課されて仕事だけで1日が終わってしまったり、あるいは充実した趣味があったり、それ以外の要因で自分の事で手いっぱいな状態だったりで、そもそも異性に興味を持てない、興味を持つ状況にない。
私と同世代の人の中には、そういう人も多かったように思います。
あと、そもそも男性が嫌い、好きじゃないっていう女性も結構いて、それも拍車を掛けているのかなと感じる事も…
異性を好きになれない女性の話
機能不全の家庭で育ったり、成長の過程で異性から嫌な思いをさせられて、異性に嫌悪感を持っている女性も少なくはないようです。
私のような人間でも痴漢に遭った事があるので、容姿とかはあんまり関係ないんですよね。
加害してくる男性から見たら、弱くて抵抗できない女性だから、こいつなら泣き寝入りするだろうみたいな感覚なんでしょうか?
痴漢までいかなくても、うんざりしてしまうような事を言ってくる男性ってどこかしらにいて、生理的な嫌悪感を抱かせる経験を蓄積させてしまっている場合もあるようです。
実際に成長して、出会った異性との交流でそういう嫌な人ばかりではないんだと知り、伴侶を得るに至る場合もありますが、そうしてまともな異性に接する機会がなかったり、出会えてもご縁がなかったりすると独り身でいいやってなっちゃうのかなと。
ただ、異性が嫌いイコール単純に子供を産みたくないという事にはならないのが、また難しいところ。
実際交流のあった女性で、旦那は要らないけど子供は欲しいと言っていた人は何人かいましたし。
欧米のように、結婚しなくても子供をもうけ易い空気や環境があれば、意外と女性の側は自然に順応していけるんじゃないかなぁ、とも感じるんですよね。
問題なのは、現況に順応していけない、時代や生き方・働き方に合わせて価値観を変えられない人たちなのでしょう。
アップデートされない女性への扱い
医療が発展したとはいえ、妊娠と出産が命懸けなのは変わらないんですよね。
どんなに直前まで母子ともに健康な状態であっても、ごくたまに突然死亡してしまう事すらあるんです。
それなのに、配偶者やその親族がストレスを掛けたり、無理をさせて…というのもまあありきたりなくらいには聞きますし、もっと自分たちと血の繋がりのある子供を産んでくれる人に思い遣りを持った方がいいんじゃない?と思いますね。
ar40neet.hatenablog.com
以前にこちらで取り上げたように、異性を自分と同等の人間だと認識していない人も少なくないようで、かなり根の深い問題に感じます。
結婚すると奴隷や召使いのように扱われるというイメージも強いし、実際そういう状況を今も強いられている女性がいる訳で。
自分の母親や身近な女性がそんな扱いを受けていたとかで、年若い頃に悪く印象付けられてしまうと、結婚願望自体も薄れてしまいますよね。
自分で生活していけるだけの収入が得られているなら、わざわざ他人と一緒に暮らすメリットもない。
職場など周囲の不理解も、子供をもうけ難くなる要因のひとつですよね。
多くは男性上司からの心ない発言や扱いとして聞かれますが、そういう観念に影響を受けている女性もまた、同性でありながら尖兵になり得るので厳しいです。
あと、産休育休で残された人にしわ寄せが行って、悪感情を溜めてしまうような仕組みもよくない。
人員に余裕を持てないんだったら、やっぱり企業は暖簾を下ろすべきだと思います。
無痛分娩への偏見と、その名前おかしくない?という思い
それからやっぱり、最近話題になっている無痛分娩についてもですね。
無痛分娩って言葉ばかりが先走って、出産の際にどういう事をするのか、それで得られるメリットは何かという事を知らない人もいるんじゃないでしょうか?
痛みに対する身体のダメージについて
— 箱 ミネコ(単行本発売中!) (@hakomine) January 2, 2019
まだ研究は始まったばかりともいえますが
「痛みのショックで死亡する」「痛みの消耗で死亡する」
「痛みを強く受けた場合回復が遅れる」ことは
昔から知られていました
著しい痛みはダメージを与えるので出産死亡率を上げ
産後の回復を遅くするのは間違いないです
「無痛分娩」でも出産が女性の体に
— 箱 ミネコ(単行本発売中!) (@hakomine) January 2, 2019
大きな負担をかけてる前提は変わりません
麻酔で外科手術をした人に「麻酔手術だから軽い手術」と言わないのと同じです
「死に至る痛みの負担を取り除いただけの話」なのですが
こと出産となると「極端に軽んじて結論付けられやすい」のが
最も危険な傾向と思います
無痛分娩に対して有益なツイートをされている方がいらしたので、一部抜粋。
「無痛分娩でも母体に負担が掛かる事には変わらないが、痛みを和らげる事で死亡リスクを減らし、回復を早める」というメリットがすさまじくて、なんでこれをスタンダードにしないの?と不思議に思うくらいでした。
それに、手術や歯医者などで何回か麻酔をした事のある身から言わせて貰うと、麻酔をしたからといって全く痛みがなくなる訳じゃないじゃないですか。
痛いところは痛いし、人によっては効きにくい場合もある。
それなのに「無痛」って付けるのは、なんかおかしくないですか?
出産は全治6ヶ月の事故に遭うくらいのダメージを母体に与えるものだという事を、伴侶ですら知らない人がまだ多いんじゃないでしょうか?(他人事だから知らないのか?)
最低限その辺りまでは、義務教育の間に教えておく必要があるんじゃないでしょうか。
日本の子供は大切な事を教えられず無知なまま、お互いの性別の特徴や気を付けなければならない事も分からないまま結婚が可能な年齢になってしまうから、その時点でハードル高すぎない?って思います。
学校って、社会で生きていくのに本当に必要な事は、なんにも教えてくれなかったよね…
LGBTは少子化に関係ない
特に考えの古い人に誤解されているようなのですが、LGBTの中で同性同士の結婚が認められたからといって、出産の増減にはほぼ影響はないって事です。
だって、同性愛の人は昔から同性が好きな訳で(成長してから気付く人もいるけど)、そういうのは古代からあるじゃないですか。
日本だって、同性愛がおかしいみたいな風潮になったのは明治に入って、悪く言えば外来の思想にかぶれちゃったからでしょう。
理解のない発言で問題になっている人とかは、価値観がアップデートされていないというよりは偏った考え方に洗脳されてるんじゃないかな…
もし問題となるなら、LGBTよりもDINKS(子なしを選択した夫婦)の方じゃないですか?
でも様々な考えや事情から子供を持たない(持てない)男女を、偉い人たちは責められるんでしょうか?
江戸時代だってなんとかなっていた
少し考えたら、江戸時代って女性がすごく少なかったし衆道文化も普通だったのに、割と大丈夫だったんですよね。
鎖国していて完全に自給自足だったり、飢饉が起きていた時期もあったのに。
それを思うと、何割かの人が子供をもうけなかったからと言って、すぐ人口減少に直結するとは限らないんじゃないかと。
一番大事なのは、むしろ子供を沢山設けられる、本当は産みたいと思っている人たちが幸福になり易い環境の整備なんじゃないでしょうか?
少子化を止めたいという偉い人たちには、そこを頑張って欲しいですね。
終わりに
人口の減少に関しては、大袈裟に煽られている程には心配する事はないのでしょう。
増やしたい人たちが、その方向に舵を切っているというだけの事です。
喧伝の影にあるものを、しっかり見つめていきたいですね。
ぶっちゃけると、私は子供の頃「こんな世の中だったら生まれてきたくなかった」と何度も思っていました。
それくらい目耳に入ってくるものや、心ない人たちのする事に傷ついたり嫌な思いをする事が多かったんですね。
だから「これこれこういう事で多くの子供が生まれてこられなかった」というような言説を聞いても、自分のような思いをする子供が増えなかったのなら却ってよかったと思う事さえあった。
今は、子供が安心して社会に出られるまで暮らせる、それまでに社会で生きていく為に必要な知識をきちんとつけられる環境が必要だと考えます。
それはとりもなおさず、子供たちの親の世代も同様に、安心してまともな人間らしい暮らしを送れているという前提があっての事。
少しでも早く、そんな環境が整う事を願っています。